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2022年度(令和4年度) 大阪星光学院中学 社会 入試問題解説 その2

  • 執筆者の写真: 上本町 AS
    上本町 AS
  • 2022年2月6日
  • 読了時間: 12分

更新日:2022年3月9日

2022年度(令和4年度)の大阪星光学院中学で行われた社会の入学試験の解答・解説を、個別指導AS上本町の講師が作成しました。

大阪星光学院の受験を考えられている方や東大寺学園、西大和学園等の併願で4科受験を考えられている方、社会を中学受験の武器にしたい方は、是非参考にして今後の学習に生かしてみてください。

(なお、解答は講師陣によって何度も検閲を重ねておりますが、問題作成者による模範解答と異なる箇所がある可能性がございます。予めご了承ください。)




(参考資料・大阪星光学院公式HPより抜粋) 

◆社会

・講評:大問数2(変化なし) 小問数45(変化なし)

    難易度(やや難化) テスト時間40分(変化なし)

  

  3年連続の難化傾向であった。得点では、理科・社会の逆転状況が続くが、得点率を鑑 

 みると理科の易化が極端なだけで、むしろ適正値と思われる。構成や内容に大きな変化は

 見られないが、大問1の前半に難しい問題が多かった。消去法をうまく使いたい。また、 

 時事動向に関する設問は少しずつ増加傾向にあるように思われる。時事問題集を解くだけ

 でなくニュース等にはアンテナをはるようにしたい。

 

・解答


◆詳細解説

大問2

問1 正解は、ア

 歌集とあるので、アの万葉集が正解となる。

ア 万葉集は大伴家持らによって編纂され、万葉仮名が用いられた。「貧窮問答歌」の山上憶良や山部赤人、大伴家持、防人らの歌が有名。

イ 古事記(712年)は、稗田阿礼の口述を太安万侶が筆記した日本最古の歴史書。元明天皇に献上された。

ウ 風土記(713年)は、元明天皇の命で地方の文化や風土、地勢について国ごとに編纂された地誌。常陸・播磨・出雲・肥前の風土記が現存するが、完本として残るのは出雲国風土記のみである。

エ 日本書紀(720年)は舎人親王らによって編纂された歴史書



問2 正解は、ウ

 律令制下における税制の問題。

ア 租は、田一段につき、収穫の3%を「国府」に納めさせる税。

イ 庸は、成年男子に都での労役をさせる、代わりに「」にをに納入させる税。

ウ 調は、成年男子に郷土の産物を一定量を「」に納めさせる税。

エ 雑徭は、成年男子が「国司」のもとで労役に従事することを指す。


 昨年に続く同様の出題。設問の場所も同様であった。庸と調が「都」まで運搬が必要な点に注意。正誤問題でよく見かける。また、兵役に関しては、衛士は都での警固を指し、防人は九州での警固を指す点にも注意。



問3 正解は、水素

 時事に関連した設問であるが、珍しく、リード文を注意深く読む必要がある問題で難易度は高かった。三箇所ある( C )の前後からヒントを探したい。脱炭素やカーボンニュートラルに向けて、メタンハイドレートや水素自動車など、水素関連技術への注目度は近年高まっている。



問4 正解は、清少納言

 「春はあけぼの・・・」で始まる設問文に引用された作品は平安時代に書かれた「枕草子」。従って、答えは、作者は藤原道隆の娘である定子に使えた清少納言となる。

 因みに、同時代の女流作家である紫式部の代表作品は「源氏物語」であり、彼女が仕えたのは彰子である。

 三大随筆とされるのは、「枕草子」の他に、鴨長明「方丈記」と吉田兼好「徒然草」であり、いずれも鎌倉時代に成立。



問5 正解は、ウ

 災害に関連した時事動向の問題。国語の記号選択と同じく、「常設」などの大げさな表現に関しては確認するようにしたい。

ア 復興庁は、2011年3月11日の東日本大震災からの復興を目的として、2012年2月10日に設置された。2031年3月31日までが設置期限である。

イ 災害救助法は、災害直後の応急的な生活の救済などに関し定めた法律。

ウ 災害対策本部は常設ではなく、災害が発生したか、災害が発生するおそれがある場合に国または地方自治体に「臨時」に設置される機関である。

エ ハザードマップに関する正しい内容。ハザードマップを用いた出題も大学受験レベルでは散見されることから、自治体のホームページ等で参照可能なのものは一度見ておきたい。


 アの復興庁とイの災害救助法に関しては正誤判断は難しかったと思われる。因みに、災害救助法の設置は1947年と最近ではないので注意が必要。ただし、自衛隊に対しての災害救助要請に関する設問は、最難関では散見される設問になっているので必要とされる知識になりつつある。



問6 正解は、三内丸山遺跡など

 世界遺産に関連した時事問題。遺跡の名称を求められ、戸惑った受験生もいるかもしれないが、「北東北の縄文遺跡群」とあるので、素直に三内丸山遺跡と答えれば良い。別解としては、以下の構成遺跡群を書けば良いが、中学受験レベルではむしろ難しい。


〈青森県〉

小牧野遺跡(青森市)、是川遺跡(八戸市)、亀ヶ岡石器時代遺跡(つがる市)、

田小屋野貝塚(つがる市)、大森勝山遺跡(弘前市)、二ツ森貝塚(七戸町)、大平山元I遺跡(外ヶ浜町)

〈岩手県〉

御所野遺跡(一戸町)

〈秋田県〉

大湯環状列石(鹿角市)、伊勢堂岱遺跡(北秋田市)


因みに、北東北という条件を外すと、以下も構成遺跡群である。

〈北海道〉

キウス周堤墓群(千歳市)、北黄金貝塚(伊達市)、入江・高砂貝塚(洞爺湖町)、大船遺跡(函館市)、垣ノ島遺跡(函館市)



問7 正解は、囲炉裏

 伝統的な日本家屋の設備に関する資料問題。意外に書けなかった受験生は多いかもしれない。現代の家屋ではまず目にすることがない設備である。これら、かつての一般常識的な知識に関しては、検定教科書や資料集、ミュージアム等で知っておきたい。



問8(1)正解は、のぼりがま

 古墳時代に関する資料問題。図の空洞を空気が登っていく様子からも、容易に答えられたはずである。



問8(2)正解は、ア

 空欄補充の組み合わせ問題。全ての空欄が分からなくても二つ分かれば判別できる。

① 大仙古墳や応神天皇陵等を想起すれば( F )に「近畿」が入ることは容易に分かるので、アとカの二択になる。

② やや難解な用語として「甕棺」があるが、甕棺墓は甕や壺を棺の代わりに用いた墓のことを言う。日本では縄文後期から弥生時代にかけて特に使用され、甕棺の中に死者は屈葬されることが多かった。有名な遺跡に吉野ヶ里遺跡がある。それに対し「石棺」は、縄文後期や弥生にも見られるが、古墳時代に多い。いずれも教科書や史料集に掲載されているので見ておきたい。設問が問うているのは古墳時代であるので「石棺」が空欄に入り、正答はアとなる。



問9 正解は、イ

 弥生時代の青銅器に関する正誤問題。青銅は、銅を主成分とした錫との合金である。日本に本格的な青銅器が入ってきたのは紀元前2世紀ごろの弥生時代であり主に祭祀に用いられた。青銅器のサイズに関しては悩む受験生が多かったかもしれないが、時代を下るに連れ大型化が進み、1メートルを超えるものも現れた。



問10 正解は、エ

 室町時代から大正時代までの内容を含んだ正誤問題。アからウの内容は正しい。

エ  下線部の田中正造は明治時代の衆議院議員。日本初の公害事件とされる足尾鉱毒事件において明治天皇に直訴しようとしたことで有名。全国水平社は1922年(大正11年)に成立した、部落差別の解放運動団体。

アからウの内容は正しい。



問11 正解は、歌川広重

 歌川広重は、江戸後期の浮世絵師。史料の「東海道五十三次」は1833年の作品。大胆な構図や特徴的な藍色の使用で名高く、ヨーロッパの印象派やアールヌーヴォーにも影響を与え、ジャポニズムの流行を生んだ。同じく、江戸時代後期に活躍した葛飾北斎の「富嶽三十六景」との混同には注意したい。



問12 正解は、ウ

 明治時代に関する正誤問題。

ア 土佐藩出身の坂本龍馬による薩長同盟は1866年。前進の亀山社中を海援隊に改組した。

イ 長州藩出身の木戸孝允(桂小五郎)は、五箇条の御誓文の起草や版籍奉還、廃藩置県を主導したが、征韓論を唱える西郷隆盛や富国強兵政策を推進する大久保利通と対立した。

ウ 1882年に立憲改進党が結成したのは肥前出身の大隈重信。早稲田大学の創設や、首相であった第一次世界大戦時の「対華21か条の要求」でも有名。下線部の大久保利通は、薩摩藩出身の内務卿。不平士族によって1878年の紀尾井坂の変で惨殺された。

エ 薩摩藩出身の西郷隆盛は、幕臣であった勝海舟との江戸城無血開城を成し遂げ、明治の元勲として活躍したが、征韓論で失脚し下野。1877年の西南戦争で自刃した。


★中学受験の幕末から明治維新の志士、幕臣等

  • 薩摩藩・・・大久保利通、西郷隆盛、黒田清隆、五代友厚

  • 長州藩・・・木戸孝允、伊藤博文、井上馨、高杉晋作

  • 土佐藩・・・坂本龍馬、板垣退助

  • 肥前藩・・・大隈重信

  • 幕臣・・・勝海舟、榎本武揚

  • 朝廷・・・岩倉具視、三条実美

  • その他・・・前島密、岩崎弥太郎


問13(1)正解は、イ

 明治時代の文明開化に関する設問。ガス灯の年代を覚えている受験生はまずいないが、文明開化の時期に関してはイメージを持っておきたい。因みに、日本で初めてガス灯が灯ったのは横浜で1872年(明治5年)、設問文から銀座は1874年と分かり、史料の錦絵はその5年後とあるので1879年となる。記号の前後の出来事に関しては、基本レベルの知識であり、以下の通り。

  • ペリー来航 1853年

  • 大政奉還 1857年

  • 日清戦争 1894年

  • 日露戦争 1904年

  • 第一次世界大戦 1914年


問13(2)正解は、渋沢栄一

 2021年の大河ドラマの主人公に関する史料問題。渋沢栄一は、明治時代にから大正時代にかけて活躍した実業家。大蔵省で税制・幣制改革に携わったあと、第一国立銀行(現みずほ銀行)や大阪紡績会社設立など実業界、政界、教育界で幅広く活躍した。



問14(1)正解は、イ・カ・キ

 記号内容は飛鳥時代から平安時代までの内容。設問が問うていた聖武天皇の在位は724年から749年である。キ.の判定には悩んだかもしれない。

 厳島神社の建立は諸説あるが593年、平清盛による造営が1168年。世界文化遺産。

イ 正解。聖武天皇が出した大仏建立の詔は、743年であり同年に行基は勧進に起用されている。

ウ 初の戸籍を作られたのは670年の庚午年籍、税制の統一を図った改新の詔は646年。

 桓武天皇による平安京遷都は794年

オ 初の元号とされるのは大化であり、645年から650年にかけて使用された。

カ 正解。聖武天皇が国分寺・国分尼寺を全国に造るよう命じたのは741年。

キ 正解。高僧は鑑真のことを指し、初めての渡海企図は743年である。

  実際の渡日は、753年の屋久島到着であり、この時点で皇位は娘の孝謙天皇にある。

ク 女性が十二単を纏うようになったのは平安時代。

ケ 初の遣唐使派遣は630年で正使は犬上御田鍬



問14(2)正解は、イ

 平安時代後期に関する資料問題。設問は源平合戦について問うており、史料からも海上戦闘と分かるのでイが正解となる。易問である。

ア 保元の乱は1156年。朝廷内の権力闘争を武士の力を用いて解決を見た。

イ 1185年の壇ノ浦の戦い。源義経に率いられた源氏方が勝利し、平氏は滅亡した。

ウ 1180年の富士川の戦い。源頼朝は平維盛を破った。

エ .平治の乱は1159年に起こった平清盛と源義朝の争い。清盛が勝利し、義朝は討滅、頼朝は伊豆に流罪。以後、平氏政権が確立する。


問14(3)正解は、大仏

 豊臣秀吉の1588年の刀狩令に関する史料問題。刀狩令の内容は、刀・槍・弓・鉄砲などの武器の没収であり、目的は一揆の防止や兵農分離であった。秀吉は、名目として、方広寺の大仏造営を謳った。

 

★秀吉に関する中学受験レベルの主な事績。

〈政治〉

太閤検地(=一地一作人の原則、荘園制の解体

刀狩令

身分統制令(=身分の固定)

〈外交〉

バテレン追放令(1587)

朝鮮出兵(1592文禄の役、1597慶長の役)



問15 正解は、ア

 核に関する歴史・公民融合問題。

ア 正しい。非核三原則は、佐藤栄作内閣において、1967年の衆議院予算委員会、1968年の施政方針演説において打ち出された国是であり、憲法に成文化されたものではない点に注意。

イ 記号の文は、第9条の条文ではなく、日本国憲法の前文

ウ 広島市に原爆投下がなされたのは、1945年8月6日。8月9日は長崎市への投下である。

エ 非核平和都市宣言を行った日本の自治体数は1604あり最初に行ったのは愛知県半田市。



問16 正解は、エ

 戦国時代に関する設問。 エ 約100年間という表現が誤り。約100年に渡り自治を行ったのは1488年の加賀の一向一揆であり、1485年の山城の国一揆は、国人が8年間に渡り自治支配を行った。

 因みに、山城の国一揆で追放されたのは管領家の畠山政長・義就の両陣営であり、加賀一向一揆で敗死させられたのは守護の富樫政親。1580年の石山本願寺降伏まで自治を行った。



問17(1)正解は、高麗

 鎌倉時代に関する設問。元寇は、1274年の文永の役と1281年の弘安の役を合わせていう。

この当時の朝鮮の王朝名なので、答えは高麗となる。

高麗は、938年に朝鮮半島を統一した王朝。王建によって建国され、高麗版大蔵経などの仏教文化や金属活字や高麗青磁などの文化が花開いたが、13世紀後半には元に服属した。



問17(2)正解は、ア

 戦国時代の鉄砲伝来に関する設問。地図中のAは種子島、Bは奄美大島である。1543年の鉄砲伝来は、ポルトガル人の種子島漂着により、以後、堺や近江の国友で増産された。

種子島、屋久島、奄美大島、口永良部島などの鹿児島県南部の島嶼部の位置は頻出。Bの奄美大島は2021年に世界遺産に登録されたので、世界文化遺産、自然遺産ともに関連する出題がされたことになる。



問18 正解は、ア→ウ→エ→イ

 年代整序問題。近現代史における年号整序問題は、最難関頻出である。特に1931年から1945年までのいわゆる15年戦争の期間における並び替えは重要。国家総動員法のタイミングはやや難しく、1940年の大政翼賛会結成や、1943年の学徒出陣、学童疎開などと分類・整理が出来ていない受験生は多い。


ア 1931年。奉天郊外で関東軍が暴発した柳条湖事件に端を発する。

イ 1933年。1932年のリットン報告書に対し、翌年の国際連盟総会で脱退を通告。国際的孤立を深めた。

ウ 1938年。日中戦争の長期化に対応するため、議会の承認なく人的・物的資源を統制運用が可能に。

エ 1937年。北京郊外の盧溝橋で日中両軍が衝突したことに端を発し、中華民国の首都南京を占領。国民党政府は重慶に遷都した。



問19 正解は、イ

 現代社会に関連した時事動向問題。星光定番のカタカナの用語を問う問題である。バリアフリーなどに関しては過年度に具体例を図から選ぶ設問も見られた。


ア.スマートコミュニティとは、「家庭、ビル、工場や交通システムをITネットワークでつなげ、地域でエネルギーを有効活用する次世代の社会システム」のことを指す。

イ.カーボンニュートラルとは、「温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる」ことを指す。

ウ.ダイバーシティとは、直訳で「多様性」を意味し、もともとは人権問題や雇用機会の均等などを説明する際に用いられていた。

エ.バリアフリーとは、多様な人が社会に参加する上での「障壁(バリア)」をなくすことを指す。



問20 正解は、ウ

 裁判員裁判に関する設問。裁判員制度の対象は、国民が高い関心を持った重大事件で、「地方裁判所」で行われている「刑事裁判」に限定される。したがって、ウの「家庭裁判所、簡易裁判所」といった表現は誤り。

 因みに、裁判員制度は、2009年から実施され、国民が、「地方裁判所」で行われている「刑事裁判」に参加し、被告人に対し有罪か無罪か、どのような量刑にするかを裁判官と一緒に決める制度である。裁判員は、選挙権を持った国民を対象とした選挙人名簿をもとに裁判員候補者名簿が作成され、その中から一つの事件ごとに裁判所における選任手続によって選ばれる。



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